「AIエージェント」という言葉が2026年に入って一気に広まりました。チャットで質問に答えるだけでなく、複数の手順を自分で組み立てて、道具を使って、仕事を最後までやりきる——そういうAIの使い方を指します。

これを聞くと「エンジニアの話でしょう」と思われるかもしれません。実際、少し前まではそうでした。しかし今は状況が変わっています。コードを書かずに作れるツールが揃い、しかもその多くに無料枠があるからです。

具体的に、いま何が使えるのかを確認しておきます。すべて公式ページで確認した内容です。

専用アシスタントを作るもの:ChatGPTのGPTsとProjects、AnthropicのClaude Projects(無料アカウントでも最大5プロジェクトまで利用可)、GoogleのGems(2025年3月から全ユーザーに無料提供)。いずれも「役割と手順と参考資料をあらかじめ渡した専用の相棒」を作る機能です。

手順をつなぐもの:Zapier(無料枠は月100タスク、ただし2ステップのZapのみ)、Make(無料枠は月1,000クレジット、実行間隔15分以上、アクティブなシナリオ2本まで)、n8n(クラウドは無料枠なしだがセルフホストのCommunity Editionは無料)、Dify(Sandboxは200メッセージクレジット・1名・5アプリ)。

日本の小規模事業所で現実的なもの:Google Apps Script(無料)、LINE Messaging API(開始は無料、日本語ドキュメント完備)、kintone。

そして、この記事でいちばん伝えたいことを先に書きます。技術的なハードルは、もうほとんど残っていません。残っているのは設計のハードル、それも「患者の個人情報をどう扱うか」の一点です。

つまずくのは、たいてい同じところ

実際に「AIで業務を自動化しよう」として途中で止まるパターンは、驚くほど似ています。

ひとつは、患者情報を入れてしまってよいのか分からず、手が止まるケース。 病歴は法律上の「要配慮個人情報」なので、この不安は正しい。ただ、正しい不安のまま止まってしまうと、何も進みません。実は個人情報を1文字も通さずに、実用的なエージェントを組む方法があります。むしろそれが本筋です。

もうひとつは、効率化しなくてよいところを効率化してしまうケース。 月に1回30分かかる作業を自動化しても、生活は変わりません。効くのは週に5回、3分の作業のほうです。ところが人間は、面倒な作業ほど記憶に残るので、頻度ではなく苦痛で優先順位を決めてしまう。

そしてもうひとつが、症状の質問に答えるボットを作ってしまうケース。 技術的には拍子抜けするほど簡単です。だからこそ危ない。ここには法的な線があり、越えると事業ごと止まります。

以下では、この3つを避けるための具体的な設計として、①患者情報を通さないという唯一の原則②書類・問い合わせ・予約という3つの実装手順(それぞれ使う道具と料金を公式ページで確認済み)、③作るときの5ステップを、そのまま真似できる形で書いていきます。