- 米国の遠隔医療大手Teladoc Healthが2026年10月7日、スマートフォンのカメラだけで心拍数と呼吸数を非接触で測定するAI機能「SoloVitals」を発表したと報じられています。
- 測定には「rPPG(遠隔光電脈波)」という技術が使われており、顔の皮膚色の微細な変化から血流の変動を読み取る仕組みとされています。
- 同時に、診察内容を自動で文書化するAI診療録「SoloScribe」も発表され、こちらはすでに一般提供が開始されています。
事実の整理
米国の遠隔医療大手Teladoc Healthは2026年10月7日、病院・医療機関向けの遠隔ケアプラットフォーム「Solo」に2つのAI機能を追加すると発表したと複数の医療メディアが報じています。
ひとつめは「SoloVitals」です。患者の手元にあるスマートフォンやタブレットのカメラを使い、顔の皮膚色のわずかな変化を捉える「rPPG(remote photoplethysmography:遠隔光電脈波)」技術と、コンピュータビジョンによる微細な動きの評価を組み合わせて、心拍数と呼吸数を非接触で計測する機能とされています。患者が専用アプリをインストールする必要はなく、画面の案内に従って進める形式とされています。テラドック社は臨床検証済みとしていますが、発表時点では具体的な精度の数値は公開されていません。現在は一部の顧客を対象としたプライベートプレビュー段階であり、広範な提供は2026年12月が予定されているとされています。
ふたつめは「SoloScribe」です。診察中の会話をリアルタイムで録音・文字起こしし、EHR(電子カルテ)向けの構造化された臨床記録を自動生成する「アンビエントAIスクライブ」と呼ばれる機能です。EpicおよびOracle Healthとの連携に対応しており、こちらはすでに一般提供が開始されているとされています。
Teladoc Healthは現在、世界で1万5,000以上の医療機関にSoloプラットフォームを提供しているとされています。今回の発表の背景には、医療機関が複数のベンダーのツールを抱える「ポイントソリューション疲れ」への対応があるとされており、単一プラットフォームへの機能集約を強みとして打ち出しているとされています。
臨床家にとっての意味
治療家にとってこのニュースが意味しうることを、「現時点で言えること」と「まだ言えないこと」に分けて整理します。
現時点で言えること
遠隔診療・遠隔リハビリの普及が進むなかで、今回のような非接触バイタル計測技術の実用化は注目すべき動向のひとつといえます。理学療法士・作業療法士がオンラインリハビリを実施する際、従来は問診や患者の自己申告に頼るほかなかった心拍数・呼吸数のデータを、患者の手元のカメラから取得できる仕組みが整いつつあります。運動負荷を伴うリハビリメニューでは、遠隔でも呼吸・循環の変化を把握できることが、安全な運動指導の一助になる可能性があります。
SoloScribeのようなAIスクライブ機能は、診療録の作成にかかる事務的な時間を圧縮する可能性があります。日本でも電子カルテへの記録が実務上の負担とされる場面は多く、AIによる自動文書化は治療家が患者との対話や手技に集中できる環境づくりに寄与しうるテクノロジーとして、中長期的に関係しうる方向性です。
まだ言えないこと
SoloVitalsの測定精度については、発表時点では具体的な数値が公開されていません。心拍数・呼吸数を精密に管理する必要がある疾患や、運動強度の定量評価に使えるかどうかは、今後の臨床研究や独立した精度検証の結果を見守る段階です。また、これらの機能はTeladoc HealthのSoloプラットフォームの一部として提供されるものであり、日本国内の遠隔診療規制やシステム環境への適合については現時点では情報がありません。SoloVitalsの広範な提供自体が2026年12月予定のプレビュー段階であるため、実運用への展開はまだ先の段階とされています。
出典
- Teladoc Health adds contactless vitals and ambient AI scribe to virtual visit platform(MedCity News, 2026年10月7日)
- Teladoc unveils remote monitoring, ambient AI features(Healthcare Dive, 2026年10月7日)
本記事は情報提供を目的としており、特定の製品・サービスの推奨や効果の保証をするものではありません。
