この記事の要点
- 8月28日の第263回介護給付費分科会は、令和9年度介護報酬改定に向けて介護人材確保・処遇改善、生産性向上等を議論した
- 資料では従業員の過不足状況(職種別)が示され、PT・OT・ST等の不足感は39.7%。訪問介護員82.9%・介護職員69.8%より低いが4割近い
- 令和7年賃金構造基本統計調査の特別集計で、リハ職の賞与込み給与は35.3万円、老人福祉・介護事業に限ると35.8万円という職種別データも掲載された
厚生労働省は2026年(令和8年)8月28日、第263回社会保障審議会介護給付費分科会を開催しました。令和9年度介護報酬改定に向けた分野横断的テーマの議論として、「介護人材確保に向けた処遇改善等」「介護現場の生産性向上等の推進」「高齢者虐待の防止・安全性の確保」「災害時等における業務継続」「ハラスメント対策」の5本の資料が示されています。このうち資料1には、介護分野で働くリハビリテーション専門職の状況を職種別に示すデータが多く含まれています。
職種別の過不足——リハ職の不足感は39.7%
資料1の「従業員の過不足状況(職種別)」では、「大いに不足」「不足」「やや不足」を合計した不足感が、訪問介護員82.9%、介護職員69.8%、看護職員44.8%、PT・OT・ST等39.7%(n=2,577)、介護支援専門員37.0%、全体でみた場合65.8%と示されました。リハ職の不足感は介護職・看護職より低いものの、事業所の4割近くが不足を感じている計算です。資料は、訪問介護員・介護職員は他の職種と比べて「大いに不足」「不足」している事業所が多いと整理しています。
職種別の採用率・離職率も示されました。PT・OT・ST等の離職率は令和7年で9.0%(令和5年9.4%、令和6年9.7%)と、訪問介護員(11.6%)、介護職員(12.7%)、看護職員(14.6%)より低い水準で推移しています。介護分野のリハ職は、大量離職よりも「必要数を確保できない」ことが課題である構図が読み取れます。
賃金データ——リハ職35.3万円、介護事業に限ると35.8万円
資料1には、令和7年賃金構造基本統計調査に基づく職種別賃金(賞与込み給与、一般労働者・男女計)も掲載されました。「理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、視能訓練士」は平均年齢34.7歳・勤続7.1年・賞与込み給与35.3万円。特別集計による「老人福祉・介護事業」に限った数字は平均年齢39.3歳・勤続7.9年・35.8万円と、全体よりわずかに高くなっています。参考値として、産業計(役職者除く)は39.6万円、看護師は42.0万円、介護職員は31.4万円です。
介護職員については全産業平均との賃金差を背景に処遇改善の議論が続いており、令和8年度には期中改定として処遇改善加算の拡充も行われました。リハ職の賃金データが職種別に並べて示されたことは、今後の処遇改善議論においてリハ職の位置づけを検討する基礎資料になり得ます。
今後——秋以降に具体的方向性の議論へ
令和9年度介護報酬改定は、2026年4月〜夏頃に主な論点の議論、10〜12月頃に具体的方向性の議論、12月中に基本的考え方のとりまとめ、2027年1月頃に諮問・答申というスケジュール案が示されています。介護領域で働く・働くことを検討しているセラピストは、処遇改善の対象範囲や要件がどう設計されるかを引き続き追う必要があります。数値の詳細や調査の出典は、下記の分科会資料原文を確認してください。
