この記事の要点
- 厚労省医政局が2026年5月7日に「医療関係職種の安定的な養成・確保に関する検討会」を発足させ、8月24日の第4回まで議論が進んでいる
- 第1回資料では、令和6年度入学者数から算出した養成課程の定員充足率がPT87.8%・OT66.5%・ST72.9%と示された
- 論点は少子化・地域偏在・定員充足率の低下を踏まえた「養成・確保体制の在り方」で、リハ3職種も正面から対象に含まれる
厚生労働省医政局は2026年(令和8年)5月7日、「医療関係職種の安定的な養成・確保に関する検討会」の第1回会合を開催しました。看護師や診療放射線技師などと並び、理学療法士・作業療法士・言語聴覚士のリハ3職種も検討対象に含まれます。以後、5月25日に第2回、7月6日に第3回、8月24日に第4回と、約1か月に1回のペースで議論が続いています。
事実の整理——なぜ今「養成・確保」なのか
検討会の開催要綱は、2040年頃にかけて医療と介護の複合ニーズを抱える高齢者が増加する一方で生産年齢人口が減少すること、18歳人口の減少により養成校の定員充足率が低下していることを背景に挙げています。「リハ職は供給過剰」という文脈で語られてきたこれまでの需給論とはやや異なり、「担い手をどう養成し、確保し、定着させるか」が正面の論点です。
数字を見てみましょう。第1回検討会の資料3「医療関係職種を取り巻く現状について」によると、令和6年度入学者数から算出した養成課程の定員充足率は、理学療法士87.8%(入学者数不明の学校を除いて算出)、作業療法士66.5%、言語聴覚士72.9%。入学定員総数(令和6年4月1日時点)は理学療法士14,668人、作業療法士7,648人、言語聴覚士2,970人です。OTは定員の約3分の1が埋まっていない計算になり、職種間の差がはっきり出ています。同資料には、鳥取県のPT・OT・ST修学資金など、自治体による確保策の事例も収載されています。
議論の進み方も追っておきます。第2回(5月25日)は医療関係職種の地域の養成・確保体制、第3回(7月6日)は専修学校の現状と学校養成所の運営・教育課程がテーマとなり、第4回(8月24日)は「経済財政運営と改革の基本方針」等の閣議決定の報告に加えて「多様な人材が参入しやすい養成課程」と「医療関係職種の養成・確保体制の在り方」が議題に上りました。社会人経験者や既卒者の参入しやすさという論点は、養成カリキュラムや修業年限の議論に発展しうるテーマです。
現場への意味——養成校・臨床実習・キャリアの三方向
第一に、養成校にとっては経営環境の議論が国レベルで始まったことを意味します。定員充足率の低下は学校単体の募集努力の問題として扱われてきましたが、検討会は地域偏在や職種別の構造要因を含めて扱っており、今後、定員規模や養成課程の再編に関わる方向性が示される可能性があります。第二に、臨床実習を受け入れる施設にとっては、実習生の供給元である養成校の状況が変わることは、中長期の採用計画に直結します。特にOT・STの充足率の低さは、数年後の新卒採用市場の逼迫として現れうる数字です。第三に、現役のセラピスト個人にとっては、「参入しやすい養成課程」や定着支援の議論が、処遇や働き方の議論とどう接続されるかが注目点になります。
検討会は資料・議事録が厚労省サイトで公開されており、YouTubeライブ配信の傍聴も行われています。取りまとめの時期や結論は現時点で示されていないため、断定的な予測は避けつつ、リハ職に関わる論点が出るたびに本サイトでも追っていきます。一次情報は下記の公式ページで確認してください。
