この記事の要点
- 厚労省が8月31日に公表した令和7年雇用動向調査で、医療・福祉の2025年1年間の入職者は121万5,200人、離職者は120万200人と全産業で最多だった
- 医療・福祉全体の入職率は14.5%、離職率は14.3%で入職超過0.2ポイント。ただし一般労働者に限ると入職率13.1%・離職率13.6%の離職超過
- 全産業計は入職率14.7%・離職率13.7%。医療・福祉は全体平均並みの流動性だが、フルタイム人材の純減が示唆される結果となった
厚生労働省は2026年(令和8年)8月31日、「令和7年雇用動向調査結果の概況」を公表しました。この調査は、主要16産業の約15,000事業所を対象に、1年間の入職・離職の状況を明らかにする公的統計です。理学療法士・作業療法士・言語聴覚士の多くが属する「医療,福祉」産業のデータは、セラピストの労働市場の体温を測る手がかりになります。
医療・福祉——離職者数は全産業最多の120万人
2025年(令和7年)1年間の労働移動をみると、入職者数は「宿泊業,飲食サービス業」122万600人に次いで「医療,福祉」が121万5,200人で2番目。一方、離職者数は「医療,福祉」が120万200人と全産業で最も多く、「卸売業,小売業」112万800人、「宿泊業,飲食サービス業」104万2,700人が続きます。就業者規模が大きい産業とはいえ、年間120万人が職場を離れているという規模感は押さえておきたいところです。
率でみると、医療・福祉の入職率は14.5%、離職率は14.3%で、入職超過率は0.2ポイントとわずかにプラス。全産業計(入職率14.7%、離職率13.7%、入職超過1.0ポイント)と比べると、流動性は平均並みながら、純増の余地が小さいことがわかります。
一般労働者は離職超過——構成の変化に注意
就業形態別にみると、様相が変わります。医療・福祉の一般労働者(フルタイム相当)は入職率13.1%・離職率13.6%で、0.5ポイントの離職超過。一方、パートタイム労働者は入職率17.6%・離職率15.9%の入職超過(1.7ポイント)でした。産業全体では人数が保たれていても、フルタイムで働く人が減り、パートタイムで補われる構図が数字に表れています。医療機関や介護事業所の現場感覚として語られてきた「常勤確保の難しさ」を、公的統計が裏づけた形です。
なお、この調査は産業単位の集計であり、PT・OT・STといった職種単独の入職・離職率を直接示すものではありません。リハ職に限った離職率としては、介護分野についてPT・OT・ST等で9.0%(令和7年、介護給付費分科会資料)という調査データが別途示されています。
セラピストへの意味——「動く人が多い市場」で何を見るか
年間120万人が離職する市場は、裏を返せば中途採用の門戸が広い市場でもあります。転職を検討するセラピストにとっては、求人の背景にある「補充なのか、増員なのか」を見極める視点が重要になります。また、雇用管理側(リハ科の管理職など)にとっては、一般労働者の離職超過というマクロの流れの中で、常勤者の定着施策の優先度が高まっていると読めます。調査の詳細な内訳(性・年齢別、転職理由等)は下記の概況原文で確認できます。
