この記事の要点

  • 令和8年度改定の診療報酬本体は+3.09%(令和8・9年度の2年度平均)で、本体は令和8年6月施行。賃上げと物価対応に厚く配分された
  • リハ領域では休日リハビリテーション加算・回復期リハビリテーション強化体制加算・地域包括ケア病棟のリハ・栄養・口腔連携加算などが新設され、早期リハビリテーション加算と回復期リハ病棟の評価体系が大きく再編された
  • 目標設定等支援・管理料は廃止。関連の減算規定もなくなり、代わりに介護保険リハビリテーションとの連携が算定要件に組み込まれた

令和8年度診療報酬改定は、令和8年3月5日に告示され、本体部分は令和8年6月1日から実施されています。施行から3か月が経ち、疑義解釈資料も「その12」(令和8年9月2日)まで発出されて、算定運用の細部が固まってきた段階です。本記事は3本立て解説の総論として、改定率などの骨格と、リハビリテーション領域の変更点の全体マップを、厚生労働省の一次資料で確認できた範囲に絞って整理します。

各論は次の2本で扱います。第2回は疾患別リハビリテーション料と算定ルールの変更点、第3回は新設加算・体制系の変更と施設基準です。

なお、本記事の内容は厚生労働省の告示・通知・疑義解釈資料等に基づいていますが、実際の算定・届出にあたっては最新の告示・通知・疑義解釈の原文を必ず確認してください

改定率と施行時期——「2年度平均+3.09%」の構造

令和7年12月24日の予算大臣折衝で決定された改定率は、次のとおりです。

区分 改定率 施行
診療報酬(本体) +3.09%(令和8・9年度の2年度平均。令和8年度+2.41%、令和9年度+3.77%) 令和8年6月
薬価 ▲0.86% 令和8年4月
材料価格 ▲0.01% 令和8年6月

今回の特徴は、本体+3.09%が単年度の数字ではなく、令和8年度と令和9年度の2年度平均として設計されている点です。段階的に点数が引き上がる仕組み(後述の物価対応料など)が組み込まれており、令和9年度にはさらに評価が上がる項目があります。

本体+3.09%の内訳も大臣折衝事項に明記されています。

内訳 率(2年度平均)
賃上げ分 +1.70%
物価対応分 +0.76%
食費・光熱水費分 +0.09%
令和6年度改定以降の経営環境悪化を踏まえた緊急対応分 +0.44%
効率化・適正化(後発品置換え、在宅・訪問看護の適正化等) ▲0.15%
上記以外の改定分 +0.25%(各科改定率:医科+0.28%、歯科+0.31%、調剤+0.08%)

賃上げ分+1.70%は、令和8年度・9年度にそれぞれ+3.2%のベースアップ(看護補助者・事務職員は5.7%)の実現を支援するための措置です。リハビリテーションを担う職員は、令和6年度改定からベースアップ評価料の対象職種に含まれており、今回の賃上げ措置の直接の対象です。

改定の基本方針——4つの視点

社会保障審議会の「令和8年度診療報酬改定の基本方針」(令和7年12月9日)は、改定の基本的視点として次の4つを掲げています。

  1. 物価や賃金、人手不足等の医療機関等を取りまく環境の変化への対応(重点課題)
  2. 2040年頃を見据えた医療機関の機能の分化・連携と地域における医療の確保
  3. 安心・安全で質の高い医療の推進
  4. 効率化・適正化を通じた医療保険制度の安定性・持続可能性の向上

リハ領域の個別項目も、おおむねこの4つの視点のどれかに紐づいています。休日リハ加算や早期リハ加算の再編は「質の高い医療」、回復期リハ病棟のアウトカム評価強化は「機能分化」、療法士の専従要件の柔軟化は「人手不足への対応」の文脈で読むと、変更の意図がつかみやすくなります。

リハ領域の変更点マップ——新設・変更・廃止

ここからが本題です。一次資料(個別改定項目・告示・改定説明資料)で確認できたリハ関連の主な変更を、「変更の種類」タグで整理します。

図1 令和8年度改定 リハ領域の変更点マップ(新設・変更・廃止)

【新設】新しくできた項目

  • 休日リハビリテーション加算(1単位につき25点):疾患別リハビリテーション料の加算として新設。土曜日・休日のリハ実施を、起算日から30日目までを限度に評価
  • 回復期リハビリテーション強化体制加算(1日につき80点):回復期リハ病棟入院料1を対象に、実績指数48以上・排尿自立支援加算の届出・退院前訪問指導の実施割合等を要件とする新加算
  • 地域包括ケア病棟のリハビリテーション・栄養・口腔連携加算(1日につき30点):計画作成日から14日を限度。地域包括ケア病棟にもリハ・栄養・口腔の一体的取組の評価が拡大
  • リハビリテーション・栄養・口腔連携体制加算2(A233)・地域包括医療病棟の連携加算2:施設基準を緩和した第2区分がそれぞれ新設
  • 物価対応料:初・再診時や入院料等の算定時に併せて算定する新設項目。令和9年度には点数が倍になる設計(例:回復期リハ病棟入院料1では入院物価対応料19点/日、令和9年は38点/日)
  • 離床を伴わずに実施するリハビリテーションの区分:ベッド上のみでポジショニング・拘縮予防等を目的とした他動的訓練のみを行う場合、所定点数の100分の90で算定し1日2単位までとする区分が新設
  • リハビリテーション総合計画評価料の「2回目以降の場合」区分:評価料1は初回300点・2回目以降240点、評価料2は初回240点・2回目以降196点の2段階に

【変更】要件・点数が変わった項目

  • 早期リハビリテーション加算:25点(発症等から起算して30日)から、入院初日から3日目まで60点/単位・4日目から14日目まで25点/単位(起算日は入院日)へ再編
  • 回復期リハビリテーション病棟入院料:入院料1〜5の点数引上げ(例:入院料1は2,229点→2,346点)。実績指数の基準引上げ(入院料1:40→42、入院料3:35→37)と入院料2・4への実績指数導入(32以上)、重症患者の定義・割合の見直し、休日リハ体制の入院料3・4への要件化など、体系全体が再編
  • リハビリテーション実績指数の算出方法:FIMの「歩行・車椅子」「トイレ動作」が5点以下から6点以上に改善した場合に1点ずつ加点。除外対象・除外割合(30%→20%)も見直し
  • リハビリテーション総合計画評価料:計画書様式の統合・簡素化、患者署名欄の廃止、説明を担える職種の拡大(回復期リハ病棟は引き続き医師)
  • 退院時リハビリテーション指導料:対象患者を、入院中に疾患別リハビリテーション料等を算定した患者に限定
  • 医療機関外での疾患別リハビリテーション:1日3単位の上限に加え、一連の入院期間中に合計3単位(対象患者は6単位)まで追加で算定可能に
  • リンパ浮腫複合的治療料:重症の場合を時間区分化(60分以上500点、40分以上60分未満350点)、それ以外150点へ引上げ
  • 疾患別リハビリテーション料の専従療法士:疾患別リハ以外に従事できる業務(医学管理、在宅医療、精神科専門療法、家族指導、介護施設への助言等)が明確化
  • ベースアップ評価料:賃上げ目標を令和8・9年度各+3.2%(看護補助者・事務職員5.7%)へ更新し、対象職員を40歳未満の医師や事務職員等にも拡大
  • 摂食嚥下機能回復体制加算:加算1・2の言語聴覚士の要件が専従から専任でも可に。加算3の実績要件に経腸栄養等から経口摂取へ回復した患者も算入可能に

【廃止】なくなった項目

  • 目標設定等支援・管理料(初回250点・2回目以降100点):廃止。脳血管疾患等リハビリテーション料等の注7に規定されていた、同管理料未算定時の100分の90減算も併せて廃止
  • 上記の代替として、脳血管疾患等・廃用症候群・運動器リハビリテーション料に介護支援専門員との連携等の要件が組み込まれた
  • 休日リハビリテーション提供体制加算の対象縮小:回復期リハ病棟入院料3・4の患者が対象から外れ(休日体制が入院料の要件になったため)、対象は入院料5と回復期リハビリテーション入院医療管理料の患者のみに

施行後の運用は疑義解釈で追う

令和8年度改定の疑義解釈資料は、令和8年3月23日の「その1」から9月2日の「その12」まで発出されています。リハ関連では、リハビリテーション総合計画評価料の初回・2回目以降の取扱い(その1・問42、その12・問11)、がん患者リハビリテーション料の要件(その12・問12)、離床を伴わないリハビリテーションの記載頻度(その12・問13)などが明確化されました。施行後も解釈の追加は続くため、自施設の算定に関わる項目は厚生労働省の改定特設ページで最新の事務連絡を確認する習慣が重要です。

まとめ——次の2本で各論へ

令和8年度改定のリハ領域は、「早期・休日への傾斜」「アウトカム評価の強化」「書類・人員要件の合理化」「賃上げ・物価への対応」の4つの潮流で整理できます。第2回では疾患別リハビリテーション料の算定ルールの変更を、第3回では新設加算と施設基準を、それぞれ実務目線で掘り下げます。

繰り返しになりますが、本記事は改定内容の要約であり、算定にあたっては最新の告示・通知・疑義解釈の原文を確認してください

出典(一次資料)