この記事の要点

  • 回復期リハ病棟は入院料1〜5の点数が引き上げられた一方、実績指数の基準引上げ(入院料1は42以上)と入院料2・4への実績指数導入(32以上)など、アウトカム要件が全面的に強化された
  • 入院料1の上位評価として回復期リハビリテーション強化体制加算(1日80点・実績指数48以上等)が新設。リハ・栄養・口腔の一体的取組の評価は地域包括ケア病棟まで拡大された
  • 賃上げ関連ではベースアップ評価料の対象職員拡大と新水準化、物価対応料の新設が行われ、リハ職の処遇改善が引き続き評価の枠組みに組み込まれている

各論の2本目は、新設された加算と、病棟・体制側の変更です。回復期リハビリテーション病棟の評価体系再編を中心に、施設基準のどこを確認すべきかを、告示・通知・改定説明資料で確認できた範囲で整理します。所属部門の届出区分に関わる内容のため、管理職だけでなくスタッフレベルでも構造を知っておく価値があります。

本記事は改定内容の要約です。実際の算定・届出にあたっては、最新の告示・通知・疑義解釈の原文を必ず確認してください

回復期リハビリテーション病棟——点数は上がり、要件も上がった

入院料の点数

区分 改定前 改定後
入院料1 2,229点 2,346点
入院料2 2,166点 2,274点
入院料3 1,917点 2,062点
入院料4 1,859点 2,000点
入院料5 1,696点 1,794点

点数引上げの背景には、物件費高騰への対応と医療関係職種の賃上げ推進があります。つまりこの増点分は、賃上げと物価対応の原資として設計されているものであり、単純な「増収」と読むべきではありません。

実績指数——基準の引上げと全区分への拡大

区分 改定前 改定後
入院料1 40以上 42以上
入院料2 基準なし 32以上(令和8年9月30日まで経過措置)
入院料3 35以上 37以上
入院料4 基準なし 32以上(令和8年9月30日まで経過措置)

これまで実績指数の基準がなかった入院料2・4にも基準が導入され、すべての入院料でアウトカムが問われる体系になりました。FIM測定に関する年1回以上の研修会開催要件も入院料2・4に拡大されています。

算出方法も変わりました。FIM運動項目のうち「歩行・車椅子」「トイレ動作」が入棟時5点以下から退棟時6点以上に改善した場合、それぞれ1点を加点できます。歩行とトイレの自立という生活上のインパクトが大きい改善を、指数上も高く評価する仕組みです。一方で、実績指数の算出から除外できる患者の範囲は縮小されました。FIM認知項目の除外基準は24点以下から14点以下に引き下げられ、「80歳以上」という年齢による除外は削除、除外できる割合も30%から20%に縮小されています。高齢というだけで算出対象から外す運用はできなくなりました。また、1日6単位を超える疾患別リハが入院料に包括される「効果に係る相当程度の実績が認められない場合」の基準は、実績指数27未満(2回連続)から30未満に引き上げられています。

重症患者の基準

重症患者の対象は「日常生活機能評価10点以上又はFIM55点以下」から、FIMは21点以上55点以下に見直され、高次脳機能障害と診断された患者、脊髄損傷と診断された患者が対象に追加されました。FIM20点以下の最重度層が重症患者の枠から外れる一方、新規入院患者に占める重症患者割合の基準は入院料1・2で4割以上から3割5分以上、入院料3・4で3割以上から2割5分以上へ引き下げられ、受け入れの柔軟化とセットの再編になっています。重症患者のうち退院時に改善した割合の要件は削除されました。

体制要件——休日リハ・情報公開・高次脳機能障害への退院支援

  • 休日リハ体制の要件化の拡大:土曜・休日を含む全日のリハ提供体制が、入院料1・2に加えて入院料3・4にも要件化。休日の1日あたり提供単位数の目安も「平均2単位以上」から「平均3単位以上」に引き上げ。これに伴い休日リハビリテーション提供体制加算の対象は入院料5と回復期リハビリテーション入院医療管理料の患者のみに縮小
  • 実績指数等のウェブサイト掲載:退棟患者数・実績指数等の院内掲示に加え、ウェブサイトへの掲載が要件化(自ら管理するホームページ等がない場合を除く)
  • 高次脳機能障害患者への退院支援:高次脳機能障害者支援センターや障害福祉サービス事業所等の情報をあらかじめ把握し、対象患者の退院時に説明・提供すること、リハ移行先へ総合実施計画書等を文書で提供することが要件化
  • 退院前訪問指導料の出来高算定化:回復期リハ病棟入院料等でも退院前訪問指導料(580点)が出来高で算定可能に

回復期リハビリテーション強化体制加算(新設)——入院料1の上に置かれた「もう一段」

入院料1を届け出る病棟を対象に、回復期リハビリテーション強化体制加算(1日につき80点)が新設されました。施設基準は次の4点です。

  1. 回復期リハビリテーション病棟入院料1の届出
  2. 届出月及び各年度4月・7月・10月・1月に算出したリハビリテーション実績指数が48以上
  3. 排尿自立支援加算の届出(摂食嚥下機能回復体制加算1の届出が望ましい)
  4. 直近6か月に自宅へ退院した患者のうち1割以上に退院前訪問指導を実施

実績指数48は、入院料1の基準42のさらに上に設定された高いハードルです。アウトカム・排泄自立・生活環境調整という「質の高い回復期」の要素を束ねた加算であり、今後の回復期病棟の目標水準を示すベンチマークとして機能していくと考えられます。

リハ・栄養・口腔の一体的取組——急性期から地域包括ケア病棟まで「3階建て」に

令和6年度改定で急性期一般病棟等に導入されたリハビリテーション・栄養・口腔連携体制加算(A233)の枠組みが、今回の改定で大きく拡張されました。

図1 リハ・栄養・口腔の一体的取組の評価マップ(令和8年度改定後)

項目 A233(急性期一般等) 地域包括医療病棟 地域包括ケア病棟
点数(1日・14日限度) 加算1:150点/加算2(新設):90点 加算1:110点/加算2(新設):50点 30点(新設)
3日以内リハ開始割合 8割以上(加算2は同じ) 8割以上(加算2も) 入棟患者の6割以上
休日リハ提供(平日比) 加算1:8割以上/加算2:7割以上 加算1:8割以上/加算2:7割以上 7割以上
退院時ADL低下割合 加算1:3%未満/加算2:5%未満 加算1:3%未満/加算2:5%未満 要件なし
院内発生褥瘡割合 2.5%未満 2.5%未満 2.5%未満

急性期側は加算1が増点(A233は120点から150点へ、地域包括医療病棟の連携加算は80点から110点へ)されるとともに、アウトカム基準を一部緩和した加算2が新設され、段階的に取り組める構造になりました。そして地域包括ケア病棟に30点の連携加算が新設されたことで、急性期→地域包括医療病棟→地域包括ケア病棟と、入院early interventionの評価が「3階建て」でつながりました。48時間以内の評価、多職種カンファレンス、口腔管理の体制といった共通の業務要件が軸になるため、病棟種別をまたいでスキームを共有できるのが実務上の利点です。

なお、地域包括ケア病棟の加算を算定する患者については、入院栄養食事指導料と栄養情報連携料の算定も可能とされています。

賃上げ・物価対応——リハ職の処遇に関わる2つの仕組み

ベースアップ評価料の新水準化。令和6年度改定で導入されたベースアップ評価料は、賃上げ目標が「令和8年度+3.2%、令和9年度さらに+3.2%(看護補助者・事務職員は各5.7%)」へ更新されました。リハビリテーションを担う職員(PT・OT・ST)は令和6年度から引き続き対象職種であり、今回から40歳未満の医師・歯科医師や事務職員等にも対象が拡大されています。入院については、令和6年度改定の入院ベースアップ評価料相当分と賃上げ余力の回復分が入院料本体の増点に置き換わり、新水準の入院ベースアップ評価料が別途設定される構造です。評価料による収入は基本給等の引上げとそれに伴う賞与・法定福利費等の増加分に充てることとされており、賃上げ実績の報告(8月の中間報告・翌年度8月の実績報告)も求められます。自分の給与明細と職場の届出状況を照らして確認する意味でも、セラピスト自身が知っておきたい仕組みです。

物価対応料の新設。令和8年度以降の物価上昇に段階的に対応するため、基本診療料等の算定に併せて算定する物価対応料が新設されました。外来では初診時2点・再診時等2点・訪問診療時3点、入院では入院料区分ごとに点数が設定され(例:回復期リハビリテーション病棟入院料1では1日19点)、令和9年度にはそれぞれ倍の点数になる予定です。冒頭の改定率+3.09%が「2年度平均」である理由が、この段階設計にあります。

人員配置・専従要件の柔軟化——療法士の業務範囲の明確化

体制系では、療法士の働き方に直結する明確化も行われました。疾患別リハビリテーション料の専従療法士について、医学管理等・在宅医療・精神科専門療法や、患者・家族への指導、介護施設等への助言など、疾患別リハ以外に従事できる業務が施設基準上明確化されました。地域包括医療病棟・回復期リハ病棟・地域包括ケア病棟に配置された専従療法士も、病棟患者に必要がある場合は退院時リハビリテーション指導料等の業務に従事でき、屋外を含む病棟外での業務も可能であることが明記されています。また、摂食嚥下機能回復体制加算1・2の摂食嚥下支援チームでは、言語聴覚士の要件が専従から専任でも可に緩和されました。専門性を病棟横断的に活かす方向の変更であり、「専従だからその業務しかできない」という硬直的な運用を見直すきっかけになります。

まとめ——施設基準は「チームの成績表」になった

今回の体制系の変更を通して見えるのは、実績指数・重症患者受入・休日提供・退院前訪問といったチームとしてのアウトカムとプロセスが、点数と届出区分に直結する度合いが一段と強まったことです。自施設がどの区分を届け出ていて、どの基準がボトルネックなのか。経過措置(入院料2・4の実績指数は令和8年9月30日まで)の期限も踏まえ、部門内で現在地を共有しておくことをおすすめします。

算定・届出にあたっては、最新の告示・通知・疑義解釈の原文を必ず確認してください

出典(一次資料)