この記事の要点

  • 疾患別リハビリテーション料の基本点数と標準的算定日数は据え置き。変わったのは加算・減算と算定ルールの構造
  • 早期リハビリテーション加算は入院日起算・14日限度に再編され、入院初日から3日目までは1単位60点に増点。休日の実施を評価する休日リハビリテーション加算(25点)が新設
  • ベッド上のみの他動的訓練にとどまる場合は100分の90への減算と1日2単位の上限が新設。目標設定等支援・管理料は廃止され、介護保険リハとの連携が算定要件に組み込まれた

総論に続く各論の1本目として、疾患別リハビリテーション料(心大血管疾患・脳血管疾患等・廃用症候群・運動器・呼吸器)と関連する算定ルールの変更を、令和8年6月1日施行の告示・通知・疑義解釈で確認できた範囲で整理します。単位の取り方に直結する変更が多く、PT・OT・STの日々の業務に最も影響する領域です。

なお、本記事は改定内容の要約です。実際の算定にあたっては、最新の告示・通知・疑義解釈の原文を必ず確認してください

まず前提——基本点数と標準的算定日数は変わっていない

令和8年厚生労働省告示第69号の医科点数表で確認すると、疾患別リハビリテーション料の1単位あたりの点数と標準的算定日数は、次のとおり従来の水準が維持されています。

疾患別リハビリテーション料 (Ⅰ)の点数(1単位) 標準的算定日数
心大血管疾患リハビリテーション料 205点 治療開始日から150日
脳血管疾患等リハビリテーション料 245点 発症・手術・急性増悪等から180日
廃用症候群リハビリテーション料 180点 診断・急性増悪から120日
運動器リハビリテーション料 185点 発症・手術・急性増悪等から150日
呼吸器リハビリテーション料 175点 治療開始日から90日

中央社会保険医療協議会答申の「個別改定項目」でも、新旧対照表で基本点数に変更がないことが確認できます。今回の改定は、本体部分の点数を動かすのではなく、「いつ・どんな内容で提供したか」に応じた加算・減算を組み替える設計になっています。

早期リハビリテーション加算——「発症からの日数」から「入院からの日数」へ

算定実務への影響が最も大きい変更です。改定前後を対比します。

項目 改定前 改定後
点数 1単位につき25点 入院初日から3日目まで1単位につき60点、4日目から14日目まで25点
起算日 発症・手術・急性増悪から7日目又は治療開始日のいずれか早い日(心大血管の例) 入院した日(転院患者は転院前の医療機関に入院した日)
算定期間 起算日から30日 起算日から14日

図1 令和8年度改定後の入院リハ関連加算のタイムライン

ポイントは3つあります。第一に、起算日が発症等ベースから入院日ベースに変わったこと。入院からの経過日数で機械的に判定できるため、レセプト上の管理は明快になりますが、算定期間は30日から14日へ半減しています。第二に、入院直後3日間の増点(60点)です。入院後3日以内の介入開始が加算面で明確に誘導されており、休日をまたぐ入院への対応体制が実質的な論点になります。第三に、転院患者は前院の入院日が起算日になるため、転院受け入れ時には前院の入院日の情報収集が必須です。

なお、初期加算(1単位につき45点・発症等から14日)と急性期リハビリテーション加算(1単位につき50点・発症等から14日)は従来の枠組みが維持されており、厚生労働省の改定説明資料では、早期リハビリテーション加算・初期加算・急性期リハビリテーション加算・休日リハビリテーション加算はそれぞれの算定要件を満たせば併算定できることが明記されています。

休日リハビリテーション加算の新設——土日祝の実施を直接評価

疾患別リハビリテーション料の注に、休日リハビリテーション加算(1単位につき25点)が新設されました。土曜日・休日にリハビリテーションを行った場合に、起算日から30日目までを限度に算定します。対象者と起算日は疾患別リハ料ごとに規定されています。

疾患別リハ料 対象者 起算日
心大血管・呼吸器 入院中の患者 発症・手術・急性増悪から7日目又は治療開始日の早い方
脳血管疾患等 入院中の患者+退院した脳卒中患者等(外来の一部) 発症・手術又は急性増悪
廃用症候群 入院中の患者 発症・手術・急性増悪又は廃用症候群の急性増悪
運動器 入院中の患者+退院した大腿骨頸部骨折患者等(外来の一部) 発症・手術又は急性増悪

回復期リハ病棟では別途、休日を含む提供体制そのものが入院料の要件に組み込まれました(第3回で解説)。急性期側でも、「平日だけ手厚く土日は空白」という提供パターンから、切れ目のない週7日提供への誘導が明確になった改定といえます。

離床を伴わないリハビリテーション——減算と単位数上限の新設

各疾患別リハビリテーション料に、離床を伴わずに20分以上の個別療法を行った場合、所定点数の100分の90で算定し、患者1人につき1日2単位までとする区分が新設されました。対象は、個別療法を実施する日に、ベッド上から移動せずポジショニングや拘縮予防等を主目的とした他動的な訓練のみを行う入院患者です。

ただし、次のいずれかに該当する場合は減算等の対象外です。

  • 救命救急入院料等の治療室の入院料、早期リハビリテーション加算、初期加算、急性期リハビリテーション加算のいずれかを算定している患者(急性期の患者)
  • 疾患・状態によりベッド上からの移動が困難な15歳未満の小児患者
  • ベッド上からの移動が困難で、3単位以上の個別療法が医学的に必要と医師が特に認めた患者(この場合、移動が困難な医学的理由・長時間のリハが必要な理由・訓練内容を診療録とレセプト摘要欄に記載)

3つ目の類型の記載頻度は現場で判断が割れていましたが、疑義解釈資料(その12・問13、令和8年9月2日)で、レセプト摘要欄への記載は毎月、診療録への記載は状態変化時に随時+変化がなくても少なくとも月1回と明確化されました。「毎日書く」保守的運用は必須ではありませんが、状態変化時の随時記載が前提である点は変わりません。

目標設定等支援・管理料の廃止と、介護保険リハとの連携の要件化

要介護被保険者等への算定で長く実務上の論点だった目標設定等支援・管理料(初回250点・2回目以降100点)は廃止されました。脳血管疾患等リハビリテーション料等の注7にあった、同管理料を算定していない場合の100分の90減算も併せて廃止されています。

代わりに、脳血管疾患等・廃用症候群・運動器リハビリテーション料の算定要件として、介護保険によるリハビリテーション等の利用が必要と思われる場合に、必要に応じて介護支援専門員と協力し、訪問リハ・通所リハ等の事業所を紹介し、見学・体験(外来患者に限る)を提案することが組み込まれました。書類上の管理料が消えた分、退院前後の介護保険サービスへの橋渡しが、算定要件そのものとして現場の行動に落とし込まれた形です。

そのほか算定ルールの変更点

医療機関外リハの上限緩和。1日3単位までとされてきた医療機関外での疾患別リハビリテーションについて、一連の入院期間中に合計3単位(算定単位数上限緩和の対象患者は6単位)まで追加で認められました。買い物動作や公共交通機関の利用訓練など、生活場面を想定した長時間の訓練を実施しやすくなります。

算定単位数上限緩和の対象患者(別表第九の三)の明確化。脳血管疾患等の患者の「発症後60日以内」が「発症日、手術日又は急性増悪の日から60日以内」に改められました。また、1日6単位を超えて9単位まで算定できる入院患者の対象リハ料の列挙から運動器リハビリテーション料(Ⅰ)が外れ、回復期リハ病棟で運動器リハの算定上限を6単位とした令和6年度改定の趣旨と整合が取られています。

リハビリテーション総合計画評価料の2段階化。評価料1は初回300点・2回目以降240点、評価料2は初回240点・2回目以降196点となりました。リハビリテーション実施計画書と総合実施計画書は様式が統合・簡素化され、患者署名欄は廃止、計画書の説明は医師のほか看護師・PT・OT・STでも可能になりました(回復期リハ病棟は引き続き医師による説明が必要)。なお、疾患別リハで起算日が再設定され計画書を作り直した場合は「初回」を算定する一方(疑義解釈その1・問42)、がん患者リハビリテーションでは一連の治療期間中の再算定は「2回目以降」となる(同その12・問11)など、初回・2回目以降の判定は疑義解釈の確認が必要です。

退院時リハビリテーション指導料の対象限定。入院中に疾患別リハビリテーション料、リハビリテーション・栄養・口腔連携体制加算、早期離床・リハビリテーション加算等を算定した患者に対象が限定されました。

まとめ——「量の管理」から「タイミングと内容の管理」へ

今回の疾患別リハ料の変更は、基本点数を維持したまま、提供のタイミング(入院直後・休日)と訓練内容(離床の有無)で評価に傾斜をつける方向で一貫しています。算定実務としては、①入院日起算に変わった早期リハ加算の日数管理、②休日提供体制と休日リハ加算の運用、③離床を伴わないリハの該当判定と記載ルール、④要介護者への介護連携の記録、の4点をチェックリスト化しておくことをおすすめします。

算定にあたっては、最新の告示・通知・疑義解釈の原文を必ず確認してください

出典(一次資料)