この記事の要点

  • 厚労省の令和9年度概算要求は一般会計36兆5,803億円で、前年度当初予算から1兆5,370億円増。「強く豊かな日本」投資枠として1兆337億円を計上
  • リハビリテーション専門職の名称使用の実態把握を含む「適切な診療・施術を受けるための機会の選択等に資する広報・実態調査等事業」に1.8億円を要求
  • 医療・介護・福祉の担い手確保では、都道府県プラットフォーム構築等に80億円、養成施設のテクノロジー導入・AI教育推進に55億円、修学資金支援等に130億円

厚生労働省は2026年(令和8年)8月末、令和9年度予算の概算要求を公表しました。一般会計の要求額は36兆5,803億円で、令和8年度当初予算(35兆433億円)から1兆5,370億円の増。重要政策に充てる「強く豊かな日本」投資枠として1兆337億円が計上されています。セラピストに関わりの深い要求事項を医政局資料からピックアップします。

名称使用の実態把握——無資格の医業類似行為への対応と一体で

医政局医事課の「適切な診療・施術を受けるための機会の選択等に資する広報・実態調査等事業」(要求額1.8億円)には、あはき・柔整施術所の広告実態モニタリングと並んで、リハビリテーション専門職の名称使用の実態把握が明記されました。資料は、無資格者による医業類似行為での健康被害が多数報告され消費者庁からも適切な対応が求められていること、リハビリテーション専門職の免許を有しない者が紛らわしい名称を使用している実態があるとの指摘があることを背景として挙げています。実態把握の結果を踏まえ、国民に対する情報提供の内容のあり方を検討するとしています。

理学療法士・作業療法士等は名称独占資格であり、紛らわしい名称の使用実態が国の予算事業として調査対象になることは、職種の信頼性・ブランドに関わる動きとして注目されます。

担い手確保——プラットフォーム80億円、テクノロジー導入55億円

「医療・介護・福祉の人材・インフラ構築」パッケージ(1,733億円+事項要求、うち投資枠1,293億円)では、2040年に向けて18歳人口が3割以上減少する中でも担い手を確保するため、(1)都道府県で医療関係職種の養成・確保を関係者が協議するプラットフォームの構築や仕事の魅力発信・職場体験・マッチング支援等に80億円、(2)養成施設の遠隔授業・実習等のテクノロジー導入、学科・コースの新設・拡充、デジタル・AI教育、サテライト化・再編統合支援等に55億円、(3)修学資金支援・研修の充実強化に130億円——が並びました。検討会で議論中の「都道府県プラットフォーム」構想に予算面の裏づけを求める内容です。

国際展開——「リハビリ分野」が重点対象に

医療技術・医療機器等国際展開戦略事業(SPHERE、要求額10億円)では、予防医療分野・高度医療機器分野とともにリハビリ分野(リハビリ医療機器・リハビリ手技等)が重点対象に設定されました。新興国で高齢化が進み予防医療・リハビリ需要が増大することを踏まえ、日本の医療機関・企業による相手国での人材育成や製品導入を伴走支援する枠組みです。日本のリハ技術の海外展開に関心のあるセラピストには追い風となり得ます。

なお、概算要求はあくまで「要求」段階であり、年末の予算編成過程で査定・調整されます。金額や事業内容は今後変わる可能性があるため、関心のある事業は下記リンクから原文の確認をお勧めします。

出典